fc2ブログ

理系バカと文系バカ

私は文学部の出身です。
理系を選択しなかったのは、歴史が得意で数学が苦手だったから。
数学は小学校の算数のレベルで止まっています。
 
もし数学が得意であったら、間違いなく理系を選択していたでしょう。
歴史と数学の両方が得意でも、理系を選択すると思います。
それは、工学の分野が好きだからです。
 
進路を決める大事な局面で、ちょっと消極的な選択をしてきましたが、後悔はまったくしていません。
この選択によって、現在は気ままな立場で好きな仕事ができているからです(まったく儲かっていませんが……)。
 
ただ、取材テーマが技術開発など理工系のことが多いので、苦戦することがあります。
学生のときにもっと数学と理科を勉強しておけばよかった! と思うこともしばしばです。
 
いまさら後悔しても始まりませんが、そんなことを振り返ったとき、ある本に偶然目が留まり、手に取って読んでみました。
  
理系バカと文系バカ (PHP新書) 
 
理系バカと文系バカ』(PHP研究所)です。
 
正面切って「バカ」と言う挑発的な姿勢。
果たして、内容も挑発的なのでしょうか?
こんな興味も持ちながら読み進めました。
 
本書では、理系、文系というそれぞれの枠から抜け出せず、一元的な発想しかできない人を理系バカ、文系バカと呼んでいます。
端的に言えば、こんな人たちのことです。
 
理系バカ=周りの空気が読めない人、思いこみが激しく他人の意見を聞かない人
文系バカ=論理的な考え方ができない人、その場の空気に流されやすい人
 
さて本書ですが、著者が一番言いたいことは「文理融合」です。
わかりやすく言えば、理系の人は文系のセンス、文系の人は理系のセンスを磨き、理系、文系両方のセンスをバランスよく身につけること。
とくに経済の分野で文理融合が大切だと指摘しています。
その理由は、経済システムが複雑になり、文系のセンスだけでは理解できないものになったから。
経済がどう複雑になったかまでは本書は言及していませんが、そういった現実があることだけは、皆さんも皮膚感覚でわかることでしょう。
なので、個人的にはこの理由に納得がいきました。
 
「理系バカ」「文系バカ」と挑発的な表現が出てくるのは最初のうちだけで、全体を通してみれば、文体に尖ったところはあまり見られません。
内容は著者が主張する文理融合の実現するうえでの現状の洗い出しなどが中心で、とくに著者が理系出身ということもあり、理系に関する記述が豊富です。
 
なかでもちょっと異質なのが、第三章の『日本は理系人間が育ちにくいのか?』です。
異質と表現したのは、本書は人間を理系、文系と区別することに意味はないという立場に立っているから。
区別することに意味がないのなら、理系人間の育成環境にことさら言及する必要はないのですが、あえて言及しているのは、日本人の理科離れ、数学離れという現実がこのまま進行すれば国家の持続的発展に支障をきたす、という警鐘だと理解しました。
文理融合でバランスよくセンスを身につけることもさることながら、人材構成の面で文理のバランスを取らなければいけないわけです。
 
新書ということもあり、本書はこうした著者の思い、主張を読みやすく、コンパクトにまとめています。
ただ、この本は、文系バカは手にとっても、理系バカはあまり見向きしない気がします。
それは著者も言うように、理系バカは他人の意見に耳を傾けないから。
理系バカに理解してもらうには、違うアプローチが必要かもしれません。
 
なお、第一章の『こんなタイプが「理系バカ」「文系バカ」』を読めば、あなたの文系バカ度、理系バカ度がチェックできます。
それぞれ10個の質問にYes/Noで答えるだけで、Yesが多いほどバカ度が高くなります。
興味のある方はやってみてください。
 
ちなみに私の結果は、文系バカでYesと答えたのは3つ、理系バカでYesと答えたのは2つでした。
やや文系バカ度が高いようです。
 
理系バカと文系バカ (PHP新書)理系バカと文系バカ (PHP新書)
(2009/03/14)
竹内 薫

商品詳細を見る
関連記事

0 Comments

Leave a comment