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これじゃあ、変わらないよ

先日、ある会社の社長が本を出版するのを記念して開かれたシンポジウムに行ってきました。
 
その社長は女性ですが、アメリカからある人材・組織開発手法を日本に持ち込み、日本での普及・啓蒙に注力されています。
私はフリーランスになる以前から、仕事で社長とお付き合いがありましたが、会社を辞め独立した後も、その会社の広報誌制作をお願いされるなど、何かとお世話になっています。
 
シンポジウムに行った目的は、その会社の広報誌でこの様子を紹介するため。
早い話、取材でお邪魔したわけです。
 
シンポジウムのテーマは「現場力強化」。
内容については詳しく書けませんが、大きく分けて、その社長の講演とパネルディスカッションで構成されました。
 
実はパネルディスカッションのなかで、非常に印象的なことがありました。
 
それは、パネリストの一人であるある大学教授が、この席上発表された某企業の事例を受けて会場の参加者に「組織理念を浸透させることに興味がありますか?」と尋ねたところ、参加者のほぼ全員が「興味がある」と反応したのに対し、「では、あなた方は組織理念を浸透されたいですか?」と尋ねたところ、ほとんどの参加者が消極的な姿勢を見せたことです。
 
消極的な姿勢というのは、言い換えれば、「できれば避けたい」「それは嫌だ」といった、ネガティブに受け取れる反応です。
この反応を見た瞬間、「これじゃあ、変わらないよ」と思いました。
 
それはなぜか?
自分が変わることなく、現場やそこで働く人だけに変わることを要求しているように思えるからです。
 
本来、何かを変えなければならないときは、自ら変わらなければ変わらないはず。
たとえ嫌なことであっても、変えるためにそれが避けて通れなければ、その嫌なことも受け入れなければなりません。
しかし、会場の反応からは、そういった意思みたいなものは感じられませんでした。
 
この反応は、現場と現場で働く人を見下しているように見えます。
 
自分がされるのは嫌だけれど他人にはしてもいい、と考えているのでしょうか?
自分が嫌なことを、他人は皆喜んで受け入れるとでも思っているのでしょうか?
 
傲慢で鼻持ちならない態度に我慢ならなかったのが正直なところです。
 
これまで取材などを通して、企業内で人材開発や組織開発に熱心に取り組む人、それを支援するコンサルタントなどをいろいろ見てきました。
そういう人たちを見ていて思うのは、こうした仕事は優秀なだけでなく、どこかに人間愛みたいなものがないとできない、ということです。
人間相手の仕事ですから、当たり前といえば当たり前かもしれません。
 
しかし、そうした人の方が多いものの、なかには優秀だけれど人間に対する理解が欠け、愛情や思いやりが感じられない人も見てきました。
ヒガミに聞こえるかもしれませんが、そういう人は学校のお勉強ができる優等生なだけ。
冷たさすら感じることもあります。
 
率直に言えば、そういう人は悪しきエリート意識にまみれています。
策を弄することだけに終始し、血の通った施策が打てず、結果的に思ったような成果が得られていなはずです。
他者との対話から何かを生み出す、ということもないでしょう。
 
「組織理念を浸透されたいですか?」と問われたときに消極的な姿勢を見せたシンポの参加者は、おそらくこういう人なのではないかと思われます。
 
人材開発や組織開発がうまくいかないという悩みを抱えている企業は、案外、携わる人間(社内の推進役、外部のコンサルタントなど)の内面に問題が潜んでいるのではないでしょうか?
うまくいっていないときほど、関係者一人ひとりが自分自身に問題がなかったかどうかを振り返り、改めるべきところは改める方が先かもしれません。
そして、社内・社外問わず関係者を変える必要があると判断した場合は、ためらうことなくそうするべきです。
 
手法の本格的な検討はその後でも遅くない気がします。
 
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