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田舎力

昨年、8月と12月にセミナーの講師として島根県を訪問したこともあり、このところ地域ブランドや地域産業、地域活性化、といったことに関心があります。
実を言うと、いままでこうしたことにあまり興味を持っておらず、取材経験もほとんどありません。
ですので、手始めに何か本でも読んでみようかと思いAmazonで物色してみたところ、『田舎力』(NHK出版)が面白そうだったので、読んでみることにしました。
 
表紙はこんな感じです。
 
田舎力―ヒト・夢・カネが集まる5つの法則 (生活人新書)
 
本書でいう田舎力とは、農村や山村、漁村が持っている潜在的な力のこと。
「ヒト・夢・カネが集まる5つの法則」というサブタイトルが示すように、田舎力を最大限発揮して地域おこしを成功させる秘訣を明かしています。
 
本書が何よりもいいのは、事例が豊富なところ。
5つの法則も取材から導いているだけに、説得力があります。
 
5つの法則とは「発見力」「ものづくり力」「ブランドデザイン力」「食文化力」「環境力」。
それぞれの法則の解説に適した事例を、その都度挟み込んでいます。
 
なかでも一番印象に残ったのは、「ものづくり力」で紹介されている大分県日田市大山町の事例です。
食と農業をテーマに地域の特色を前面に打ち出し、町全体をマネジメント。
大山町農業協同組合が農家と連携し、地域農産物の直売所と地域食材を使ったレストランを直営することで、大半が山林に覆われた町に多くの人が訪れるようになりました。
農産物の生産し市場に出荷するだけでなく、付加価値の高い加工、販売、営業、サービスも手がけた結果であり、所属農家に対し従来では考えられないほどの潤いをもたらすことになったわけです。
 
また、「ブランドデザイン力」で紹介されている高知県馬路村は、田舎であることを徹底的にウリにして、馬路村農協が中心になって特産品であるゆずを使った加工品を全国で拡販。
パッケージデザインなどを工夫することによって、商品だけでなく村も「ゆずの馬路村」というブランドイメージを確立しました。
 
さらに「環境力」で紹介されている宮城県田尻町(現、大崎市)の事例にも、興味深いものがあります。
田んぼを耕さず地面に切り込みを入れて苗を植える「不耕起栽培」と、冬も水を抜かない「冬期湛水」という農法を導入。
水田をマガンやハクチョウなど渡り鳥の生息地に再生しただけでなく、国が注目するほどの循環型農業の先端拠点となりました。
 
このように何らかの形で地域づくりに成功したところに共通するのは、目立った産業がない、立地に恵まれていない、といったハンデをものともせず、自ら知恵を絞り行動していること。
自分たちの地域をどうしたいのか、というデザインがまずあって、それを実現するべく主体的に動いています。

法則に「食文化力」があることから、紹介されている事例は基本的に、食を核にしたものばかりですが、地域おこしは食に絡めなければできないわけではなく、地域固有の自然や伝統産業、工芸、といったものを核にしても可能なはずです。
何にせよ、地方が活気を取り戻すためのヒントが、本書には満載です。
 
そして、「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加すると農業が壊滅的な打撃を受ける」と言われている最近の日本にあって、農業を強くし競争力を高めるヒントもあるように思われます。
 
田舎力―ヒト・夢・カネが集まる5つの法則 (生活人新書) 田舎力―ヒト・夢・カネが集まる5つの法則 (生活人新書)
(2009/08)
金丸 弘美

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