おそるべし韓国企業

エレクトロニクスのサムスン電子、LG電子。
自動車の現代(ヒュンダイ)自動車。
 
これらの韓国企業は、いま日本企業よりも元気で、グローバル市場で日に日に存在感を増しています。
 
なぜ、韓国企業は元気がいいのか。
そして、なぜ韓国企業はいま強いのか。
そんな韓国企業の躍進の秘密を明かした『おそるべし韓国企業』(扶桑社)を読みました。
 
表紙はこんな感じです。
 
おそるべし韓国企業 日本がサムスンに勝てない理由 (扶桑社新書)
 
さて本書は、「日本がサムスンに勝てない理由」というサブタイトルが示唆するように、韓国企業の強さを解き明かしたものですが、韓国企業の強さを生み出す要素としてまっ先に挙げられるのは、「スピード経営」や「オーナーの強力なリーダーシップ」といったところではないでしょうか?
このほかにも、「グローバル経営」「能力主義と若返りを促す人事制度」「徹底したベンチマーキング」といったものがありますが、これら5つの要素は、現在の日本企業の多くにとって課題となっているものや、不得手なものばかりです。
 
しかし、これら5つの要素だけで韓国企業、とりわけ財閥系の大企業がグローバル市場で躍進できたわけではないことを、本書では指摘しています。
躍進の背景にあったものは政府の大企業優遇政策で、具体的には次のようなものです。
 
・段違いに安い法人税
・ウォン安政策
・素早いFTA締結
・経営に失敗しても政府や銀行が傘下に収め、身ぎれいにしたら財閥に売却し、財閥の膨張を手助けする
・トップやオーナーが横領や背任、暴行事件を起こし捕まっても、その後経済再生や雇用創出を理由に特赦(特別赦免)し、復権を可能にする
 
とくに最後の2つは、日本の常識では理解できないもの。
露骨なまでの大企業優遇政策に、「まともな国家なのか」という疑いの目を向けたくなります。
 
この結果、韓国の大企業は現在、わが世の春を謳歌するかのごとく繁栄を極めているわけですが、その一方で、大企業優遇政策により格差が急拡大し経済の二極化が進んでいる現状が韓国国内にあります。
リーマン・ショックからいち早く立ち直り、経済を立て直した韓国は、ごく一部の大企業に利益が集中し、大多数の中小企業が疲弊しているのが内実というわけです。
李明博政権は、どぶ川から竜が生まれる「公正な社会」の実現を目指し、儲け過ぎている大企業に対し中小企業への利益配分を求めていますが、政府の優遇政策を受け続け、なおかつ事業の軸足を海外に移しつつある大企業が、果たしてすんなり応じるかどうか?
そう簡単には公正な社会は実現せず格差はまだ拡大していく、と個人的にはみています。
 
日本にも格差問題などはありますが、本書を読むと、韓国と比べればまだ健全に見えます。
ですが、韓国の大企業に特徴的な強力なリーダーシップやスピード経営は、日本企業も大いに見習うべきところ。
今度は逆に、日本企業が韓国企業を徹底的にベンチマークし、サムスンやLG、ヒュンダイを凌駕するほど、グローバル市場で存在感を発揮してもらいたいものです。
将来、『おそるべし中国企業 日本がハイアールに勝てない理由』や『おそるべしインド企業 日本がタタに勝てない理由』といった本が出版されないためにも。
 
 
 
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2008年8月には初の著書『これがドクソー企業だ』を上梓しました。

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